Sun R&D Institute for Natural Medicines
Co., Inc.
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Div. )
有限会社 「サン自然薬研究所」
代表取締役 研究所長
医学博士 小松靖弘 プロフィール
President & General Manager
Dr. YASUHIRO KOMATSU (Ph.D.,D.V.M.)
明治薬科大学客員教授 順天堂大学 医学博士(細胞免疫学)
1941年、東京都生まれ。医学博士。
1964年、東京農工大学農学部卒業。1977~1978年
Department of Cell Biology, Auckland
University New Zealand 留学。
J.Marbrook 教授 のもとで細胞免疫学を学ぶ。1979年~1985年 順天堂大学医学部 組織培養研究室にて、抗ウィルス剤、インターフェロン誘導剤に関する研究に取り組む。
1984年、順天堂大学医学部にて、インフルエンザウイルス感染細胞特異的細胞障害リンパ球の誘導に関する研究にて、医学博士の学位を授与。
1993年より、東京女子医科大学東洋医学研究所、筑波大学医学系東洋医学、大分医科大学薬理学教室、金沢医科大学血清学教室にて非常勤講師を歴任。
東京農工大学を卒業後、大手製薬企業、大手食品企業の研究開発部門にて新薬開発研究に従事。
1984年より、日本最大の漢方薬企業、(株)ツムラにて漢方薬の薬効薬理研究に注力。
2002年から(有)サン自然薬研究所代表取締役所長。
2005年、明治薬科大学客員教授。
専門分野は免疫薬理学、アレルギ-学であるが、広く漢方薬、生薬の薬効薬理研究を手がけ、
本分野の研究では指導的役割を果たいしている研究者の一人として知られている。
「和漢医薬学会」 評議員。
「獣医東洋医学研究会」 副会長。
サン自然薬研究所 代替医療研究会 「健康と食を考える会」 会長

明治薬科大学客員教授 医学博士 小松靖弘 先生 健康関連図書 監修のことば、 ご紹介
今日ほど多くの人たちが健康に関心を抱いている時代はなかったように思われます。近代医学の発達で先進国と言われる国々の衛生環境は極めて清潔な状態になり、そして、より優れた医療技術が次々と開発され、多くの疾患が克服され平均寿命も更に更新されてきていると考えられます。しかし、残念ながら一見克服されたかのように見えた細菌感染症は未だ完全に撲滅するには至っておらず、抗生物質耐性菌の出現を許し、最近では話題から拭い去られていたはずの結核の集団発生のニュースを聞くことも度々です。皆さんにはお解りいただけていることと思いますが、先進諸国の疾病構造は昔と比べて見ても大きく異なり、微生物感染症は確かに減少しました。しかし、腫瘍(がん)や生活習慣病といわれる糖尿病、高脂血症、動脈硬化症あるいは慢性疾患である慢性リウマチ性関節炎、慢性腎炎などの治療には難渋しているのも事実かと思います。今後もこれら疾患に対する医薬品の開発は遺伝子情報を基にした新しい化合物の探索へと進んで行くことになると思われます。今日使用されている、いわゆる新薬と呼ばれる何万という医薬品はかなり少ない服用量で副作用を抑える効果を発揮するようになっています。しかし、病気を完全に治すことはできていないのです。エイズなどの新しい病気の出現もあり、また従来の病気も自然環境、社会環境の変化によってその様相も変わっていることも予想されます。このような状況になってくると自分たちの健康は自分たちの責任で守って行かなければならないことになります。薬食同源と言う言葉があります。食事と薬とは基(源)は同じであると言うように理解されていると思いますが、そうだとすると医食同源の方が言葉とすればしっくりいくような気がしますが、医食同源と言う言葉は病気の起こる根元はきちんとした食事を摂っていないことによるものであると言う意味であると考えられます。生活習慣病はまさにこれであり、動物脂肪の多い食事を摂り続けたとすれば高コレステロール血症となり、動脈硬化症に繋がっていくことになります。このような時、即ち動物脂肪を多く摂る場合には野菜、食物繊維の多い食べ物を一緒に摂り脂肪の吸収を抑制することが重要であるし、また摂取した脂肪分が燃焼できるような補助食品の摂取も重要なこととなると思います。ところで日本人の死因のトップであるガンに対しては、現在さまざまな治療法が試みられていますが、残念ながらその治癒率を100%にすることはできていないのです。ガンの放射線治療あるいは抗ガン剤治療はガン細胞ばかりでなく正常な細胞までも殺してしまい、それらの副作用で体の調子を崩してしまう結果となり、多くのガン患者さん、御家族の方々を悩ましていることと思います。このようなことから、最近になって再びガンの免疫療法が注目されてきています。私たち人間に本来備わっている自ら病気を治す力、即ち免疫力を高めてガン細胞を撲滅したり、ガンに罹らないようにするにはどうしたらよいかなどについて研究が盛んに行われています。免疫とは、少し難しく医学的に言うと「生体が自己と非自己とを区別して認識し、非自己を排除するシステム」となり、ガン細胞を非自己として認識して、殺して、排除してしまうのです。この方法は手術による苦痛もなく、抗ガン剤の副作用の心配もなく、高い期待が寄せられています。さて、キノコは私たちの健康維持に有効な食品として古来より利用されてきています。今日世界中で食用とされているキノコの選別にはきっと多くの悲劇が繰り返された結果であろうことは容易に想像されます。今日のような医学が発達しておらず、お医者さんもいなかった時代、人々はイヌあるいはネコなど他の動物と同様に体の調子が悪くなった時などには、自分自身で健康回復に必要な物を自然界から採り入れて、「薬」として用いていたに違いないのです。そして、キノコは体にきっと良い物であることを知り得たのです。現在、日本ではキノコから造られた医薬品が幾つか市販されています。中国ではブクリョウやチョレイなどのキノコが生薬として使われています。ところで読者の皆さんは最近、雑誌、新聞などに紹介され、大ブームになっているガンに効く食品として「アガリクス」の名前を聞かれたことがあると思います。このブラジル原産のキノコには以前よりガンに効くと考えられているβ‐グルカンと呼ばれる多糖体がたくさん含まれていることが明らかにされています。この?‐グルカンはシイタケ、エノキタケ、シメジなど馴染みの深いキノコにも含まれているもので、その薬効についても研究され、免疫賦活作用、ガン細胞の増殖や転移を抑制する効果のあることが確かめられています。ガンに効くということで急激に有名になってしまったのがアガリクスです。日本中に色々な形でアガリクスが氾濫し、どこの物がどのように良いのか見極めるのも大変です。特に、有効成分と考えられているβ-グルカンは体に吸収されやすい形になっていることが大切なのです。また、キノコとは別に、健康食品として知られる発酵食品が人類の知識によって誕生したことは良く知られている事実と思います。チーズやヨーグルト、パン、ワイン、お酒、味噌、醤油等々枚挙に暇ありません。乳酸菌製剤も世界中で色々と工夫されて、食品として市販され、人々の健康維持に大きく貢献しています。発酵は生体に吸収されにくい高分子化合物を吸収されやすい化合物に変えることのできる大変有利な方法なのです。
私は、この古い二つのアイディアを巧みに融合させた、正に「温故知新」の考えから生まれた画期的な健康食品を推薦しています。この新しい健康食品はキノコの持っている健康に有用な物質を乳酸菌類の豊富なケフィアで発酵させ、それらがより有効に利用されやすい形に変換させた上、さらに色々な効果を持つケフィアも一緒に口にすることができると言う一石二鳥の食品です。免疫機能を正常に保ち、病気に強い体を造り、21世紀の健康な長寿社会に貢献できる素晴らしい健康食品と考えられます。
医学博士 小松靖弘先生 「統合医療ジャーナル」 平成25年3月20日発行 2013;Vol. 09 掲載記事より引用
連載/統合医療における漢方の役割 漢方生薬研究所所長 小松靖弘氏
第1回:漢方の特性を知る
医学の潮流が統合医療に向かいつつあるなか、漢方薬の役割が見直されている。慢性疾患の発症は、個人の体質に左右されることが多いことに加え、病態は個々の臓器に止まらず、全身的な機能の失調を多く伴う。このため、西洋薬の限界を認識しはじめた臨床家の多くが漢方の価値を再評価し、個別的な対応に優れている漢方医学を取り入れる気運が高まっている。連載では、長年にわたり生薬研究に取り組んできた漢方生薬研究所所長の小松靖弘氏が「統合医療における漢方の役割」をテーマに、症状別のアプローチ法などについて紹介する。
◆認知症患者に使用される当帰芍薬散
症状別に漢方生薬の薬効や安全性をどう担保するのかは、昔ながらの課題である。西洋医学で用いる医薬品と違って、単一成分ではない漢方薬は、その作用機序は複雑であり、それは漢方の薬理学において長年にわたって研究されているが、まだ解明されていない部分も多い。
しかしながら、その作用機序が複雑であるがゆえに、多くの薬理作用を持っていると言っても過言ではない。ある病態に大きな効果をもたらすことは、これまでの臨床研究からも否定できない。病態に対する漢方薬の使用は、数ある生薬を経験則から処方することになるが、同じ症状であっても、診立てる人によって生薬の処方が異なるというのも漢方の大きな特徴の一つであろう。
過去の例では、西洋医学で用いられる医薬品に副作用がある場合でも、漢方処方であれば副作用が認められずに病態を改善したというケースも数多い。たとえば、近年、高齢者にみられる精神神経症状の治療にあたっては、患者が高齢ゆえに治療薬の選択、投与量などを間違えると思わぬ有害作用などが出て、治療が困難になったり、重篤な副作用を引き起こす場合がある。
こういう状況から、わが国では漢方薬が改めて注目されるようになってきた。特に認知症の患者に対して当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)が使用されるケースが多いが、当帰芍薬散と言えば、それ以前は更年期障害など産婦人科領域で用いられていたものとして知られている。近年の研究により、高齢者の脳機能にも有効に働くことがわかり、用いられるようになったのである。
◆同一名称でも配合成分は異なる
もちろんすべての症状に有効というのではなく、なかには十分な効果が得られないケースもある。従って、効果を確かめるには、臨床に対する薬理の研究結果を数多く積み上げて行かなければならない。
生薬と生薬を混ぜ合わせてつくる生薬は、前述したように、その機序は複雑である。同じ名前の生薬でも成分が異なったり、量によっても効果効能が違ってくる。
例えば、釣藤鍵(チョウトウコウ)という生薬がある。血圧を下げる時に用いるが、同じ釣藤鍵でも5~6種類ある。同じ名前でも、含まれる成分は違うのである。
また、ソウジュツという生薬は、医療用薬品に入っていて30年前から保険適用されている生薬だが、産地によって成分、薬効が異なってくる。成分や薬効は昔から生薬学者が、水や湯、あるいはエタノールなどで成分を抽出して薬効との関係を調べてきている。生薬研究を行う代表的な機関である北里研究所が、一つ一つ生薬を吟味して使っていることは有名だ。
私が所属していた生薬メーカーのツムラでは、中国の生薬を原料としているが、刻みの状態ではなく、原木を輸入して、国内で品質管理を行い保管している。栽培を契約している中国などの農家には、農薬や肥料の使い方など細かい注文を出し指導を行っている。大手と言われる漢方メーカーはそういう面では安全・安心を確実なものにするためしっかり管理しているが、輸入した生薬を原料に健康食品などを製造している企業などは、品質面で不安が残る。
◆個々人の病態に合わせて診断処方
漢方医学を臨床応用する医師が増える中で、問題となるのが生薬の有効性をどう評価するのか、というてんにある。漢方は「経験則」にのっとって処方するというのが特徴なので、科学的手法による評価系は馴染まず、いかにしてエビデンスを構築するかが顆題だが、症例の積み重ねが一つのエビデンスと捉えることもできる。
前述した釣藤鍵の処方は、いくつかのパターンがあり、最近は、認知症の周辺症状に効果があるとする研究結果も報告されている。精神科領域でよく使われる生薬は、抑肝散(ヨッカンサン)と陳皮半夏(チンピハンゲ)などである。抑肝散は精神状態を正常に保つのに効果があるが、この生薬は釣藤鍵を抜いてしまうと効かなくなる。
認知症や健忘症などに漢方生薬を処方している日本東洋医学会理事・石川友章氏は次のように語っている。
「漢方は基本的に個々人の病態に合わせて診断・処方をする。健忘症が激しい場合でも、それだけで処方は決まらず、脈診や腹診なども考慮しながら全体を診て処方を決める。例えば、『千金方』という古医書には、健忘症の処方として約8種類の漢方薬が記載されていて、個々の病態に応じて使い分けをする。エキス剤を中心とした痴呆症の治療では基本的に『釣藤散』がよく使われる。これは痴呆症の初期症状である物忘れなどには非常に効果があり、短期間で改善するケースがよくある。これは、『釣藤散』の構成生薬には『釣藤鍵』が含まれていて、これがその作用の中心になっていると考えられる。同様にこの『釣藤鈎』が含まれる抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)や七物降下湯(シチモツコウカトウ)なども記憶、頭重などに有効と考えられる」。
また、東京都老人医療センター・東洋医学外来の岩崎鋼氏は、「抗うつ薬と漢方薬の併用は、臨床的に試みているが、薬理学的にどういう相互作用があるのかまだよくわからないが、非常によく効くケースがある。思わぬ相互作用があるのかもしれない」と語っている。
◆アルツハイマーに対する当帰芍薬散の可能性
アルツハイマー病や痴呆症などの研究を続けている山形県テクノポリス財団生物ラジカル研究所・小松真紀子氏は、「当帰芍薬散のアルツハイマー病の抗痴呆薬としての可能性」という論文の中で次のように述べている。
「閉経期のラットに当帰芍薬散を投与すると、脳内コリン作動性ニューロン、カテコールアミン作動性ニュ-ロン及びニコチン性アセチルコリン自体を増加させる作用がある」。
これらからわかるように、単一成分ではない漢方薬は、その作用機序が複雑であるがゆえに多くの薬理作用を有する統合医療に相応しい薬剤と言える。ドネベジルなどのコリンエステラーゼ活性を抑制する単一の薬理作用に比べて、当帰芍薬散にはフリーラジカル消去作用、コリン作動性神経機能の賦活及び行動実験による空間認知障害の改善作用があり、臨床成績にも効果がみられ、また副作用の少ないことを考えあわせると、当帰芍薬散は国際的にアルツハイマー型痴呆の治療薬もしくは予防薬となりうることが大いに期待される。
人参養栄湯と十全大補湯をうまく処方すると脳が活発になるという報告もあり、人参養栄湯の中に含まれる成分で、脳活性化に関与すると見られる「遠志(オンジ)」について研究が進められている。
今日、健忘症や認知症の治療では、アリセプトを処方する機会が多いが、アリセプト単剤だけでなく、こうした漢方を加えた治療法も重要になる。著明な臨床家の中には、漢方に限らず、健康食品の素材を研究している人も少なくない。
その一人である浴風会病院名誉院長の大友英一先生は、ヤマブシタケ製剤を標準治療薬では効かない患者を対象に治験を行っている。結果は、進行を遅らせたり、周辺症状を改善することがわかり、大友先生は、「緑茶やヤマブシタケには活性酸素を除去する作用がある」として、予防のために飲用を進めている。
発症してから薬を処方するのではなく、普段から予防的に利用するのであれば、漢方や健康食品をうまく使った方が良い。産婦人科における不定愁訴、男性の前立腺、高齢化で急増する認知症など、予防のために漢方や健康食品を積極的に利用することを勧めたい。
副作用リスクが高い高齢者には緩和な作用の漢方を、症例の積み重ねがエビデンスに
●小松靖弘(こまつ・やすひろ)プロフィール
1941年東京生まれ。医学博士、獣医師。64年東京農工大学農学部獣医学科卒業。77~78年ニュージーランド・オークランド大学に留学し細胞免疫学を学ぶ。79~85年順天堂大学医学部組織培養研究室にて抗ウイルス剤、インターフェロン誘導剤に関する研究に従事。84~2000年(株)ツムラにて漢方薬の薬理研究に取り組み、十全大補湯の免疫薬理学的研究を最初に手掛けた研究者である。02年からは(有)サン自然薬研究所代表。その他、(株)ツムラ在職中、東京女子医科大学東洋研究所、筑波大学医学系、金沢大学血清学教室非常勤講師、その後、明治薬科大学客員教授など歴任、専門分野は免疫薬理学、アレルギー学。現在は、自然薬研究の豊富な経験を活かしコンサルタントとして活躍中。
医学博士 小松靖弘先生 「統合医療ジャーナル」 平成25年1月20日発行 2013;Vol. 07 掲載記事より引用
漢方・サプリを併用する「がん統合医療」 治療中の副作用緩和に「十全大補湯」が有効
漢方は、体にやさしく穏やかに症状を改善する、漢方生薬研究所所長 小松靖弘氏
◆副作用の特効薬はまだ見つからない
現在、多くのガン患者さんが手術や抗がん剤、放射線などの治療を受け、術後の不具合や副作用などに苦しんでおられる。がん治療時の副作用などの軽減、患者さんの全身状態の改善のために、さまざまな薬や食事療法などが行われているが、その“特効薬”はいまだに見つかっていない。
しかし、がん治療時の副作用の軽減、患者さんの全身状態の改善のための方法がないとはいえない。その一つの方法が、漢方薬「十全大補湯」の有効な活用だと断言できる。
私が、ヒトの免疫調節にとって有効な働きをする十全大補湯の研究を始めたのが1984年、約30年になる。私たち研究グループは、動物実験で十全大補湯が抗がん剤による副作用を抑制するかどうかの検証をしてきた。その結果、現在、術後の副作用や体力が改善しない多くの患者さんのために、この十全大補湯が大きな力を発揮すると、ますます確信を深めている。
◆抗がん剤の肝臓障害を抑えた
シスプラチンという抗がん剤を投与した場合、副作用として腎臓に障害を与えるケースが多いことはよく知られているが、これに対して十全大補湯はどのような有益な効果をもたらすか、マウス実験で検証した。
マウスにシスプラチンを投与する1時間前に十全大補湯を与えた。すると十全大補湯を与えなかったマウスと比較して、腎臓の障害がかなり低く抑えられたことが確認できた。大きなポイントは、シスプラチン投与の後に十全大補湯をを与えてもその効果はほとんど発現されなかったということである。
これはどういうことかといえば、あらかじめ体に摂取されていた十全大補湯の成分が抗がん剤による障害を与えないようにした。しかも、良いことに十全大補湯によって抗がん剤の抗腫瘍作用が低下することがなかったことを確認できたことである。
つまり、西洋医学の現場で治療薬として使われている薬と、漢方薬・十全大補湯を併用してもなんら悪い影響はない。それどころか、十全大補の効果が、逆にそれた抗がん剤の副作用を抑制する作用が発揮されるのである。
がん治療に限らず、治療薬に対する西洋医学と漢方医学の大きな違いは、西洋医学では原因に直接働く薬効の強い薬を開発しようとするのに対し、漢方では体にやさしく穏やかに種々の症状に効く薬を追及する点だといえる。
◆補剤と瀉剤のバランスが大事
十全大補湯は数多くある漢方薬の中の補剤とよばれる処方の一つである。漢方医療では、補剤と瀉剤とのバランスのよい組合せが求められる。
補剤とは、患者の体力を高め、自然治癒力を賦活するために用いられる漢方薬である。消化吸収機能を高めて栄養状態を良くし、血行を改善して細胞組織の新陳代謝を促進して治癒力を増強する。そこで注意が必要となるのは補剤の滋養強壮の働きは、時にはがん細胞の増殖をも促進する可能性がある。
このような状態の時に、直接病気の原因となるものを攻撃したり、あるいはとり除くために抗がん作用、抗炎症作用、抗酸化作用、血液循環促進作用などを持つ生薬を使った瀉剤を適切に併用すると、大きな効果が期待できる、つまり、がん治療の西洋薬と
十全大補湯がバランスよく体に働き、術後や治療時に大きな力を発揮するのである。
術前の体力増強、免疫補強も大事なポイントだ。手術前でも抗酸化作用を持ち合わせている十全大補湯などの漢方薬を前もって摂取しておくことは大事だといえる。
がんの初期治療を終えた患者にとって一番の不安や心配は再発だ。がん治療で落ちてしまった体力をつけ、免疫力の増強をはかる、あるいは抗がん剤と併用して抗がん剤の副作用を軽減する目的で十全大補湯を使うのは効果的だといえる。がん患者さんには他の補剤、「補中益気湯」、「人参養栄湯」などが体力増強、食欲増進のためによく使われている。
◆再発予防に免疫強化を
がんになった人は免疫力が低下する。がんと闘うためには免疫力を普通の健康人レベルにまで上げておくことが必要であると考えている。そのためには1日でも1週間でも、とにかく治療が始まる前から飲みはじめるのがいい。(ただ、白血病など血液のガンの場合は別と考えた方が良い)。
手術や抗がん剤治療、あるいは放射線治療にしても、治療によって患者の体力はかなり奪われてしまう。すると副作用も出易くなる。十全大補湯にはもともと免疫を賦活する力、副作用を軽減する力がある。
初期治療、がん組織の手術的除去が終わった後、「治療でがんが消えました」などと言う医師の話をよく聞くが、それはありえないことで、安心してはいけない。手術が成功して治ったと思っていたら、数年後に再発したという例はいくらでもある。むしろ初期治療が終わってからが本当の治療が始まると思ったほうがいい。
再発予防にはとくに自然免疫を強くしておく必要がある。自然免疫を担当するのはNK細胞やマクロファージなどの免疫細胞だが、マウスを用いた十全大補湯の実験で、十全大補湯がこの免疫賦活の働きを促進することが確認されている。
体力が落ちて、また西洋薬が効かなくなったがん患者さんに漢方薬を投与しても、とてもがんの治療に効果を発揮するとは考え難い。体力がしっかりしているときこそ漢方薬を使うべきだと考えている。
◆キノコのサプリも免疫賦活作用
免疫反応性を賦活するものは漢方薬だけではない。今、健康補助食品として市販されている多くのキノコ製品類がある。また、キノコ由来の医薬品も存在している。キノコは真菌の仲間で、微生物である。当然、抗原性を持っており、摂取すれば免疫を刺激する事は想像に難くない。どのキノコが良いかは一概に言えない。使って見て、自分に良い物を見つける事である。
キノコ自体の抗がん作用はあまり強いものでは無いが、私が実験した中では●芝(牛●樹に寄生する台湾特産のキノコ)、カバノアナタケ(チャーガとも呼ばれる白樺の木に寄生するキノコ)には他のキノコと異なって試験管内試験でIC50値(50%の抑性を示す値)は40~50?/mlを示し、比較的効果が強いのではないかと考えている。健康補助食品のキノコ類が十全大補湯と同じように制がん剤の副作用である骨髄抑制を改善するか否かは不明で、今後の研究課題と考える。
多くのがん患者さんが治療時の副作用で体調不良に苦しむのを実際に見聞きするにつけ、この十全大補湯などの補剤の活用を、がん治療に携わるより多くの医師に知っていただき、現場で活用していただければと願ってやまない。
●小松靖弘(こまつ・やすひろ)プロフィール
1941年東京生まれ。医学博士、獣医師。64年東京農工大学農学部獣医学科卒業。77~78年順天堂大学医学部組織培養研究室にて抗ウイルス剤、インターフェロン誘導剤に関する研究に従事。84~2000年(株)ツムラにて漢方薬の薬理研究に取り組み、十全大補湯の免疫薬理学的研究を最初に手掛けた研究者である。02年からは(有)サン自然薬研究所代表。その他、(株)ツムラ在職中、東京女子医科大学東洋研究所、筑波大学医学系、金沢大学血清学教室非常勤講師、この後、明治薬科大学客員教授など歴任、専門分野は免疫薬理学、アレルギー学。現在は、自然薬研究の豊富な経験を活かしコンサルタントとして活躍中。

【十全大補湯とは】
十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)は、体力や血液を補う代表的な漢方薬。倦怠感、食欲不振、息切れ、ふらつき、手術後や病後・産後の衰弱、不正出血、貧血、脱肛、痔ろう、生理不順などに効果があり、がんによる体力補強に用いられる。また、疲労、虚弱体質、食欲不振、手足の冷え、めまい、貧血などにも効果を発揮する。
原料は、人参(オタネニンジンの根)、熟地黄(ゴマノハグサ科の肥大根を酒で蒸して乾燥したもの)、白朮(オケラなどの根茎)、茯苓(サルノコシカケ科の菌核)、当帰(セリ科の根)、白芍(シャクヤクの根)、川きゅう(セリ科の根茎)、甘草(マメ科などの根やストロン)、肉桂・桂皮(クスノキ科のケイの幹皮・樹皮)、黄耆(マメ科の根)など。
医学博士 小松靖弘先生 薬局 2008;Vol. 59(10)94-96 掲載記事より引用
漢方よもやま話③ 小松靖弘(こまつやすひろ)
健康食品や西洋薬と漢方薬の併用は大丈夫?
はじめに、
今日、漢方薬、西洋薬の区別なく医薬品の併用は日常的に行われている。
多剤併用の障害は種々指摘されているが、現状では多種類の併用によりいかなる問題が生じるか、すべてはわかっていない。
したがって、医薬品の併用は経験的にそれぞれの薬剤の治療効果が上がり、問題を生じていない組み合わせで治療に応用されている状況である。
漢方薬と西洋薬の併用
まず、漢方薬と西洋薬の併用について考えてみると、併用が「禁忌」となっているのは小柴胡湯とインターフェロンであり、
また併用に注意が必要とされるのは麻黄を含む漢方薬とエフェドリン含有製剤、カテコールアミン類などを含有する製剤があげられている
ことは周知の事実である。また、多くの漢方処方に用いられている甘草の主成分であるグリチルリチンと副腎皮質ホルモンとの関係、
低カリウム血症の関係についてもよく知られている。
ほかにも附子、大黄などで活性成分の知られている生薬が配合されている漢方薬と西洋薬の併用については
副作用の発現を推測することも可能であろう。
一方、まったく試したことのない組み合わせでは漢方薬の一般薬理作用に関する情報不足もあり、
副作用発現を推測することは困難であると考える。そこで、西洋薬との併用による副作用発現を知る一つの方法として漢方薬エキス、
生薬エキスのP450(CYP3A4,CYP2C9)など薬物代謝酵素系への影響が調べられ、薬物代謝酵素に対する作用が報告されている。
例えば、肝ミクロソームを用いたin vitroの試験系で小柴胡湯、大柴胡湯、補中益気湯、葛根湯、小清竜湯などについて調べたところ
大柴胡湯にCYP3A4,CYP2C9を阻害する作用を認めている。
しかし、大柴胡湯と何らかの西洋薬を併用して、障害を認めたという報告はみあたらない。
漢方薬は通常経口投与されることと、また作用物質と考えられる化合物が配糖体となって存在し、
腸内細菌によって分解された後生体内に吸収されることが多いと考えられており、
in vitroでの実験で作用が認められた薬剤(物質)とその濃度が実際の生体内で確保できるのか不明で、大きくかけ離れていることが予想される。
したがって、in vitroの試験の結果がin vitroでの結果には結びついていないようで、薬物代謝酵素に対する阻害、
あるいは賦活作用より漢方薬の効果に変化が生じたという報告は知られていない。
さらに、漢方薬の薬効発現機構の解明不足は副作用発現の予測をさらに困難な状況にしている。
実験動物を用いた漢方薬と西洋薬併用に関する研究はほとんど行われていないことが大きな問題で、
このことに関する研究の発展が望まれるところである。
ラットを用いて漢方薬、葛根湯、小柴胡湯、補中益気湯がワルファリンとの併用で血液凝固作用に与える影響を調べた。
その結果これらの漢方薬はワルファリンの血液凝固作用に影響しなかったと報告されている。
さらに、このような作用については実際の臨床でのモニタリングから判断していかなければならない。
漢方薬と西洋薬との併用を考えるとき、好ましくない反応の発現ばかりではなく、好ましい反応がみられることがあることも周知の事実である。
著者らはとくに十全大補湯、補中益気湯などの補剤と化学療法制がん剤との併用が、
制がん剤のもつ好ましくない反応(副作用)の発現を抑制することを報告してきた。
ほかにも動物試験により柴胡加竜骨牡蠣湯がテオフィリン製剤の中枢に与える副作用の発現を抑制し、安心して使用できる可能性を示した。
漢方薬の併用による西洋薬の副作用の軽減という治療上好ましい結果が得られる場合が多いのではないかと考えているが、
好ましくない反応であろうとそうでなかろうと、それにはしっかりとした動物試験による研究結果の集積が求められている。
西洋薬の副作用軽減を目的とする実験において忘れてはならないことは西洋薬の主作用が減弱していないこと、
あるいは西洋薬の血中濃度に影響を与えていないことなどを必ず検討することである。今後の研究の発展に期待したい。
漢方薬と健康食品の併用
さて、漢方薬と「いわゆる健康食品」の併用の問題であるが、一口で健康食品といっても千差万別で、
漢方薬と健康食品の併用が「大丈夫か」との問いには実際の所答えは「わからない」である。
西洋薬と「いわゆる健康食品」との併用についてよく知られるグレーブフルーツジュースとカルシウム拮抗薬、
またセント・ジョーンズ・ワートとワルファリン、中枢神経系薬剤との併用は避けるなど西洋薬との組み合わせで副作用のあることが報告されている。
この作用は、それぞれの物質がもつ薬物代謝酵素に対する作用が関与していることが明らかにされている。
これらが漢方薬と併用されたとき、いかなる相互作用が発現するかは知られていない。
漢方薬を白湯ではなくグレープフルーツジュースで服用したとき、漢方薬の作用が強化されるのだろうか、わからないが、何か影響はありそうである。
漢方薬と健康食品との併用による主作用発現への影響、副作用の発現など確定された報告はないと思われる。
現在、われわれが目にする健康食品の素材は比較的植物、生薬由来のものが多く漢方薬と共通している。
すなわち、両者の併用は植物由来製品の複合となり、漢方薬どうしの併用に似るところがあるのではなかろうか、
緑茶、銀杏葉、大豆などの健康食品ではカテキン、フラボノイド類を多く含み、漢方薬と併用するとそれらの主作用成文の摂取量が多くなり、
作用にも変化が出てくることが予想される。
大豆エキスのフラポノイド類が女性ホルモン様作用を示すといわれており、同じマメ科に属する甘草を含む漢方薬との併用によっては
作用発現が増強されることになる可能性が考えられる。
朝鮮人参を含む健康食品を摂っている人が朝鮮人参含有の漢方薬を服用すると朝鮮人参の過剰摂取が考えられ、
それらによる副作用の発現が懸念される。また、健康食品の副作用についての報告は多く、死亡例も報告されている。
副作用のなかでは、アレルギー反応が多く、皮膚炎から、肝炎、腎炎などで重篤な例もあるが、内容が不明瞭で原因物質が特定できないこともある。
免疫機能を賦活するエキナセア、キノコ類(冬虫夏草、霊柴、舞茸、メシマコブ)などは、がん患者に多く摂取されている。
しかし免疫機能を賦活する効果があるということはアレルギーを起こす可能性のある抗原物質の存在は否定できず、
併用するとアレルゲンが加算されて、単独での使用よりアレルギーを起こす機会が増えることも考えられる。
その他プロポリス、ローヤル・ゼリーなども多く食べられているが同様のことが考えられる。
漢方薬に使われている生薬の薬物代謝酵素に対する影響を調べた研究があり、
70数種の生薬エキスのなかで桂皮、大黄、五味子に薬物代謝酵素の阻害効果を認めている。
桂皮は健康食品でも使われているが大量の摂取は避けた方がよいかもしれない。
健康食品としては使われない黄苓のフラボノイド類に薬物代謝酵素阻害作用があり、
植物エキス中のフラボノイド類にも同様の作用があるとすろと併用には注意が必要となる。
健康食品は健康な人が利用し疾病予防を期待するものであるが、実際にはほとんどの場合、
ガンや糖尿病など、なんらかの病気に罹っている人が利用している。
これらの健康食品について病気の人が摂取したときの安全性についてはきわめて情報が少ないので、副作用の発現は予測できない。
まずは、日本人が口にしていないような、作用がよくわからない健康食品の摂取は避けた方が安心である。
漢方薬、西洋薬を服用している患者は第一に薬を医師の指示通りに服用することが重要で、健康食品はあくまでも補助手段であるため
医薬品との同時摂取を避け、食事と同様に摂取するか、医薬品服用と時間的に重ならないように工夫することが重要であると考える。


薬局 2008;Vol. 59(10)94-96 より引用
医学博士 小松靖弘先生 Health Life 第39回 平成18年3月15日掲載記事より 
一連のアガリクス報道の中で、発がんプロモーションにかかわる成分としてアガリチンがクローズアップされている。
突然変異原性ある素材
が商品化されたのは不思議
サン自然薬研究所 代表取締役・医学博士 小松靖弘
がん患者さんの間で「アガリクス」は重要な食品となっている。その食品に降ってわいた事件に製造、販売業者のみならず、消費者にも大きな衝撃を与えたのは事実である。そこで、先日のアガリクスに関する事件ですっかり有名になった「アガリチン」について少し調査してみた。
スーパー・マーケットなどに並んでいる〝マッシュルーム〟と日本語で呼んでいるキノコ、この学名はAgaricus bisporus(アガリクス・ビスポラス)と言って、有名になっているアガリクス(Agaricus blazei、アガリクス・ブラゼイ)と同じ仲間である。このアガリクス属のキノコには共通して〝アガリチン〟という毒性物質が含まれている事が学術雑誌に報告されている。 では、このアガリチンの毒性はというとそれ程強いと言うものではなく、メルク・インデックス(化学物質の辞書のような本)を見ても、その急性毒性についての記述はない。
しかし、今回の厚生労働省研究で、キリンウェルフーズが販売していたアガリクス製品に突然変異原性が認められたと報告された。一般的には、販売しようとする素材に突然変異原性が認められた段階でその商品化は中止される。その意味でこの素材が商品化されたのが不思議でならない。
アガリクスに限らず、これまでの健康補助食品を販売している企業が研究に力を注いで来なかったことがこのような事態を招来した訳で、反省してきちんとした科学的検証に基づいた健康補助食品の開発を望みたい。
話を元に戻すと、アガリチンは60年代に発見され、科学構造式も明かにされ、合成もされた。水に良く溶ける物質で、消化管から極めて吸収され易い物質である。 食用のキノコであることから、どのようにしたら毒性が軽減、消失するかなど研究されている。 新鮮なマッシュルームには0.1μg
から0.8μg/g(平均すると0.45μg/gほど)のアガリチンが含まれると報告されている。Schulzova V.(Czech’Republic)らはマッシュルームのどこにアガリチンが含まれるかを調べたところ、傘の皮膜(上皮)と、痞だの部分に多く含まれ、クキ(柄)の部分は少ないと報告している。
クキの部分は菌糸体で構成されていることを考えると、培養菌糸体に含まれるアガリチンの量はかなり少ないことが推測されるが、定量してする必要がある。 アガリチンは熱、酸素などに弱く、加熱調理をすることで、ほとんど分解されてしまうので、料理をして食用としている限り、健康に被害を与える状況は生まれて来ないと考えられる。
アガリクスの熱水抽出エキスの場合、含まれているアガリチンは加熱分解していることが考えられ、今回の試験では〝仙生露〟に突然変異原性が認められなかったことを考えると、もしも、アガリチンが影響していたと仮定すると、加熱処理が有効に作用していたものとも考えられる。
アガリチンは吸収され易い物質である事は先に述べた。アガリチンは代謝も早くWaltonK(University of Surrey,UK)らの研究によると24時間以内に尿、糞中にほとんどが排泄されるとしている。また、その中に含まれる代謝物は突然変異原性を示さないことも報告している。
アガリチンという化合物はチッソ(N)が2分子結合した、ヒドラジン(H2N=NH2)の誘導体でタンパク質、核酸などに結合し易い性質を持っていて、この化合物の誘導体には突然変異原性があることが知られている。アガリチンの前駆物質、あるいは代謝物である4一(ハイドロキシ・メチル)フェニルヒドラジン(4MHBD)は強い突然変異原性を持っている。Shephard SE.(Swiss Federal Institute of Technology、Swiss)、Walton KらはDNA(遺伝子)との結合について研究しており、マウスに経口投与されたアガリチンは腎の組織のDNAに最も多く結合しており、肝臓、腎臓のDNAにも少ないながらも結合する事を認めている。また、Walton Kらはアガリチン自体にはそれ程強い突然変異原性を示すわけではないが、腎臓の酵素で代謝された4MHBDが突然変異原性を示す一方で、肝臓の酵素では活性に強い物質は産生されずアガリチンの突然変異原性に影響しないと報告している。また、アガリチンが生体にどの程度影響を与えるかは今後の課題である。さらなる厚生労働省の研究に期待したい。
これまで、色々と述べてきたが、アガリクチンは加熱することで分解して毒性のない物質に変化している。また、この物質を摂取した時にはグルタチオン、あるいはSOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)などの協力で毒性物質の生成を抑制することができるという報告もあり、アガリクスだけを摂取するのではなく、ほかの食品とも一緒に摂取することで危険性が排除出来る可能性もある。
従って、ただ1種類の健康補助食品だけを摂り続けるのは、その効果を期待している訳で(アガリクスの場合〝抗腫瘍効果〟)、その摂り方は〝医薬品〟的であり、食品的な考えからすると〝偏食〟に当たるのではないかと思うのである。このような摂り方は是非やめた方が良く、〝がん〟はキノコだけで治療できるほど単純で簡単な疾患ではないことを認識していただきたい。
それにしても、がん患者さんの〝わらをもつかみたい〟そのような気持ちをもてあそぶかのような売り方で金もうけに走って来た健康補助食品販売会社の姿勢は誠に遺憾なことと日頃より苦々しく思っていた。
このような事態が生じたのは、この種の健康食品を販売している企業が真剣な態度で、健康に関与する食品の研究に関心を払って来なかったことが最大の原因と考えており、この機会にアガリクスばかりではなくほかの健康食品を製造、販売している企業も十分に反省して欲しい。
明治薬科大学客員教授 医学博士 小松靖弘先生 平成18年、「健康産業新聞」掲載記事より 
アガリチンとはどのような物質か?
“マッシュルーム”と日本語で呼んでいるキノコ、この学名はAgaricus bisporus(アガリクス・ビスポラス)と言うが、これは有名になっているアガリクス(Agaricus
blazei)と同じ仲間である。このアガリクス属のキノコには共通して“アガリチン”という毒性物質が含まれている事が学術雑誌に報告されている。このアガリチンの毒性はそれ程強いものではなく、メルク・インデックス(化学物質の辞書様書籍)を見ても、その急性毒性についての記述はない。
アガリチンは1960年代に発見され、化学構造式も明らかにされ、合成もされた。水に良く溶ける物質で、消化管から極めて吸収され易い物質である。どのようにしたら毒性が軽減、消失するかなど研究されている。新鮮なマッシュルームには0.1マイクログラムから0.8マイクログラム/グラム(平均すると0.45マイクログラム/グラムほど)のアガリチンが含まれると報告されている。Schulzova
V.(Czech、Republic)らはマッシュルームのどこにアガリチンが含まれるかを調べたところ、傘の皮膜(上皮)とヒダの部分に多く含まれ、クキ(柄)の部分は少ないと報告している。クキの部分は菌糸体で構成されている事を考えると、培養菌糸体に含まれるアガリチンの量はかなり少ない事が推測されるが、定量して見る必要がある。アガリチンは熱、酸素などに弱く、加熱調理をする事で殆ど分解されてしまうので、料理をして食用としている限り、健康に被害を与える状況は生まれて来ないと考えられる。
アガリクスの熱水抽出エキスの場合アガリチンは加熱分解している事が考えられ、今回の試験で突然変異原性が認められなかった商品は、もしもアガリチンが影響していたと仮定すると、加熱処理が有効に作用していたものとも考えられる。
アガリチンは代謝も早く、Walton K(University of Surrey、UK)らの研究によると24時間以内に尿、糞中に殆どが排泄されるとしている。また、その中に含まれる代謝物は突然変異原性を示さない事も報告している。アガリチンという化合物はチッソ(N)が2分子結合した、ヒドラジン(H2N=NH2)の誘導体で蛋白質、核酸などに結合し易い性質を持っていて、この化合物の誘導体には突然変異原性がある事が知られている。アガリチンの前駆物質、あるいは代謝物である4(ハイドロキシ・メチル)フェニルヒドラジン(4MHBD)は強い突然変異原性を持っている。Shephard SE.(Swiss Federal Institute of Technology、Swiss)、Walton KらはDNA(遺伝子)との結合について研究しており、マウスに経口投与されたアガリチンは腎の組織のDNAに最も多く結合しており、肝臓、腎臓のDNAにも少ないながらも結合する事を認めている。また、Walton Kらはアガリチン自体にはそれ程強い突然変異原性を示すわけではないが、腎臓の酵素で代謝された4MHBDが突然変異原性を示す一方で、肝臓の酵素では活性に強い物質は産生されずアガリチンの突然変異原性に影響しない事を報告している。
発がん性を調べたToth Bはアガリチンを水に溶かして、マウスに自由に飲ませた時には発がんを認めていない事を報告した。しかし、この実験ではアガリチンは水に溶かして解放系に放置すると分解するまで、この結果が正しいか否かは今後も研究が必要と思われる。発がん試験の結果は色々な実験方法、条件で異なるため、真実を理解するには困難が伴う。また、アガリチンが生体にどの程度、いかなる影響を与えるかは今後の課題である。さらなる厚生労働省の研究に期待したい。


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